スポーツ選手の体の違い

スポーツ選手の体の違い       【遅筋】と【速筋】

最近あらゆるスポーツで、日本人の活躍が目立ちます。テニス、卓球、バトミントン、水泳などなど。スポーツの選手の体形から、各スポーツの特色がよく現れていると思います。筋肉ムキムキな選手が多いスポーツから、一見細い体からしなやかな力強い動きを見ることもできます。そんなスポーツ選手の体から、私たちの体を作っている筋肉をお話ししたいと思います。

スポーツ選手は、よりそのスポーツを有利に行う為に必要な筋力を鍛え、厳しい練習を行い、試合で最高のパフォーマンスを発揮する為、日々練習しています。我々が日常行っているリハビリテーションも同様です。筋力を鍛え、基本動作訓練を行い、日常生活で最高のパフォーマンスを上げられるよう訓練をします。

その筋力とはいったい??筋肉ムキムキなら、何でも上手にできるのか??ボディービルダーのような人が、どんなスポーツでも有利なのか?と言われたら、むしろ不利なことが多いと思います。

 

 人間には、表面から見える筋肉と見えない筋肉があります。さらに言えば、太い筋肉もあれば、細い筋肉もあります。

 

スポーツ選手で例えるなら、陸上競技では、持久力を必要とする長距離選手には細い選手が多く、瞬発力が必要な短距離選手は手足が太く、体の大きい選手が多いです。

 


その違いは、【速筋】と【遅筋】という大まかに分けると二種類の筋肉の差が表れているといえます。

 

マラソンなどの低負荷で高頻度の運動をすると、この遅筋の方が優位に鍛えられるのです。

 

では【速筋】と【遅筋】とは??

 

【速筋】とは、収縮速度が速く、解糖系の酵素を多く含む筋肉のことを言います。簡単にいうと、短期集中型にスピードやパワーを使う筋肉で、筋肉の中の少ない糖分をエネルギーとして使うので、疲れやすいという特徴があります。色の違いから白筋とも呼ばれます。この筋肉は鍛えると太くなります。

 

細かく分類すると【速筋】にも二種類あります。タイプⅡaⅡbという二種類です。

 

トレーニング法としては、高負荷で短時間で行うものが必要となります。きつい運動を少ない時間でするということですね。スポーツ選手などはこのような運動を部位別に計画的に行っている為、そのスポーツに必要な筋肉が発達しています。

 

【遅筋】とは、収縮速度が遅く、有酸素の酵素を多く含む筋肉のことを言います。簡単にいうと、持続的に長期的な筋収縮ができる筋で、脂肪をエネルギーとして使う筋肉です。速筋に比べ収縮までに時間がかかり、パワーも小さいですが疲労しにくいという特徴があります。外観的な特徴から赤筋とも呼ばれます。

 

ダイエットに有利とされるのは、鍛えても太くならず、脂肪まで燃やしてくれる遅筋です。なぜスポーツ選手に太い人と細い人がいるのかの答えは、筋肉の種類にあったということです。

 

トレーニング法としては、低負荷で長時間行うものが必要となります。日常生活で頻繁に行える簡単な体操やウォーキングなどが向いていますね。日々の積み重ねともいえますが、きつい運動ではなく、楽しみながら習慣化する事が重要と思われます。リハビリテーションでは、とても重要です。

 

 

 

 

 

遅筋の特徴を述べたように、得意なことは長時間力を発揮することです。つまり姿勢を保持し続けることが得意な筋肉が遅筋というわけです。リハビリテーションで、けがや病気で入院された方などは、まずこの筋肉を鍛えることから始めます。全身にある筋肉にも遅筋と速筋が半々くらいで存在するのですが、筋肉によって割合に違いがあります。姿勢を保持するときに使う筋肉が遅筋の割合が多いので、寝ている時間が長かった場合にはまず基本的な起きて座るということを目指して遅筋を多く含む抗重力筋を鍛えます。

 

抗重力筋とは、背中(脊柱起立筋、広背筋)、お尻(大殿筋)、太もも(大腿四頭筋)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)です。この抗重力筋には、遅筋が多く含まれているといわれます。つまりこのあたりの筋肉を狙って鍛えると、太い足にならずに引き締まり、代謝もアップし脂肪をよく使ってくれ、さらに疲れにくくなるという筋肉です。美容にも良いし、どんな動作スポーツをでも、厳しい練習に耐えるには、まずは必要とされるわけです。 

 

 

  

               筋繊維タイプと特徴

 

遅筋 (typeⅠ)

速筋①(typeⅡa)

速筋②(typeⅡb)

ピンク

代謝

有酸素

有酸素と無酸素

無酸素

パフォーマンス

疲れにくい。

持久力(高)

持久力(中)

瞬発力(中)

疲れやすい。

瞬発力(高)

筋の太さ

細い

太い

太い

力を発揮するまで

0.1

0.05

0.025

トレーニング

低負荷・高頻度

速筋①、②の中間

高負荷・低頻度

 

 

 

 このようにどんな筋肉を鍛えてらいいのか、スポーツ選手だけでなく、どんな目的でトレーニングしているのか?考えるうえで必要な筋肉の種類知っていただけたでしょうか?スポーツのパフォーマンスを上げるのも、日生活の動作能力を高めるのも、美容の為にトレーニングするのも同じ筋肉です。是非、【遅筋】と【速筋】を意識したうえでトレーニングをして頂けたらと思います。

 

 

吉岡 裕介

作業療法士

 

●資格

・社会福祉主事

・CBRベーシックマスタープログラム  

・オーストラリアマニュアルセラピー 

・ タナベセラピー認定コース修了

●得意な分野

人の良い所を見つける事

●趣味

ランニング、筋肉トレーニング

●自分の想い

誰にとっても、どんな時にも、役立てるリハビリテーションを!